PIST6 Championshipの裏側 審判編
2022.06.22
2021年10月に産声を上げたPIST6 Championship。選手たちが熱戦を繰り広げる舞台裏では、円滑なレース運営に向けて日夜奮闘する人々がいる。審判は公正で安全なレースを実施するために走路上から、スタンド上部に設置された審判室から、常に目を光らす。彼らの仕事の裏側に迫った。
レース中は30人が目を光らせる
審判と一口に言っても様々な肩書きを持つスタッフがおり、大きく分けて審判室からレースを見つめる通称「上審判」と、走路上で選手の入場から退場までを注視する「下審判」がある。「上審判」は最終決裁者である審判長に、それを補佐する副審判長、フィニュシュラインの到達順位を記録・判定する決勝審判員や順位判定の参考に使われるスリットカメラを担当する写真員などがいる。
また「下審判」は発走のピストルを鳴らす発走合図員、選手に周回数を伝える周回通告員、事故といったアクシデントに備える走路補助員らがいる。さらにPIST6ではスタート時にホルダーの支えによって選手は発走していくが、これも審判の一人に数えられ発走補助員と定義。また選手を先導するペーサーも審判として定められている。レース中は会場全体で30人のスタッフが審判業務にあたる。
常に緊張感のある中で業務にあたる審判だが、とりわけ審議発生時には審判室で執務に当たるスタッフの表情がより引き締まる。フィニッシュすると、映像で違反行為が疑われる箇所を何度も確認。審判長の判断により審議に入ることが決まると、各スタッフは次の動きに向けて待機する。静まりかえる審判室内。判定が出ると、審判放送の文言を用意するなど「正確かつ迅速に」を心がけて動く。
「正確かつ迅速」一つ一つを確実に
走路上の審判にとっても、より「正確かつ迅速に」が求められるのが選手の救護である。落車発生時には、いち早く落車した選手を退避させなければ重大な支障が生じることになる。万が一レース中の選手が、それを避ける行動をした場合は競走不成立となるからだ。選手は最速で1周あたり13秒から14秒で周回してくる。その僅かな間に落車した選手の体や自転車をインレーン側に寄せる、確実な動きが求められる。
一瞬の判断の遅れが二次災害に繋がりかねないため、毎開催日ごとにレース前には訓練が行われる。落車において定形のパターンはない。人数、部品の散乱、残りの周回数、どんな場面でも対応できるよう準備する。「上審判」としてレースを支えるスタッフの一人は、「上も下もミスはできないが、一方で早く動かなくてはいけない。これもお客さま、選手第一のため」と、心の内を明かした。
一つの動作を誤ると、即結果に影響が及ぶシビアな世界。審判に当たる人々は、与えられた持ち場で一瞬の隙も見せず、戦いを見守り続けていた。
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